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小堀氏の冒頭陳述081027


08.10.29 PM 12:30 (水)        小堀前副市長の冒頭陳述、まさに真実ここにあり

一昨日の27日、弁護側からなされた小堀前副市長の冒頭陳述をアップします。
私は、どのようなベクトル(方向)で検討しても、小堀前副市長への容疑は極めて不当なものと考えています。
小堀氏が一刻も早く、平穏な日々を取り戻されることを心から祈っております。


       
平成20年10月27日            冒頭陳述要旨

被告人小堀隆恒に対する談合被告事件について、弁護人が証拠により証明しようとする事実上及び法律上の主張は、下記の通りである。

                                  記
第1 総論

 本件談合被告事件において、主たる争点は、被告人が談合の共謀に関与していたか、である。
 被告人は、およそ談合行為に加担しておらず、談合の存在についての認識もなく、談合の共謀に一切関与していない。このことは、下記の事実からも明確であり、本件公訴事実は、被告人には謂われなき嫌疑に他ならない。

                                  記

1  枚方市は、従前より談合防止のために入札監視委員会の設置、電子入札制度の導入、入札予定価格の事前公表制度の導入及び契約約款における賠償条項の規定等の施策を講じていたところ、本件においても、かかる施策は実施されており、被告人は忠実にその職務を遂行し、談合防止に取り組んでいた。

2  被告人は、当時大阪府警警部補であった平原幸史郎(以下「平原警部補」という)、当時枚方市市議会議員であつた初田豊三郎(以下「初田市議」という)、当時枚方市長であつた中司宏(以下「中司市長」という)等と(仮称)第2清掃工場建設工事(以下「本件工事」という)を特定の業者に発注できるように便宜を図るための調整をしたことはない。

3  被告人は、株式会社大林組(以下「大林組」という)及び株式会社浅沼組(以下「浅沼組」という)等の業者と本件工事を大林組及び浅沼組共同企業体に発注できるように関係者と接触したり、便宜を図ったりしたことはない。

4  そもそも本件工事の発注方式をプラント設備工事と土木建築工事とに分けた分離発注方式に決定したことは、被告人が副市長に就任し、本件工事に関与する以前に方向性が決定されていたものであり、被告人は、かかる決定についておよそ影響力を与えておらず、決定の判断自体に関与していない。

5  被告人にとっては、今回の一連の談合事件に平原警部補が関与していること自体が青天の霹靂であり、談合防止のために協力を買って出ていた現職の大阪府警の警察官である平原警部補が談合に加担していることなど、想像だにしなかったことであり、被告人が自らの談合への加担を問われるなど、夢にも思わなかった。
 以下、これらの点について、詳述する。

第2  枚方市における談合防止のための施策と本件における談合防止策

1  枚方市における談合防止策

 枚方市は談合を防止するため以下のような施策を実施している。

(1) 入札監視委員会での審議

 枚方市は、外部委員で構成される入札監視委員会を設け、同委員会にて入札方法等について審議を受けることにより、談合防止に役立てている。

(2) 電子入札制度

 枚方市は、応札可能業者同士の接触を避けるために、電子入札制度を導入している。

(3) 入札予定価格の事前公表制度

 枚方市は、透明性の向上や事業者からの不正な働きかけを防止するため、入札予定価格の事前公表を行っている。

(4) 契約約款における賠償金条項

 枚方市は、契約約款に、談合を行った場合のペナルティとして、契約金額の10%を賠償金として支払う旨の賠償金条項を設けている。

2  本件における談合防止策と被告人の職務の遂行

 本件工事に関して、上記談合防止策は全て実施されており、被告人はこれらを踏まえて、忠実にその職務を遂行したに過ぎない。
 また、枚方市は、本件工事に関して、談合防止及び公正性・競争性・透明性等を重視する観点から、枚方市廃棄物減量等推進審議会の委員、コミュニティ連絡協議会などの各種団体代表者、学識経験者、枚方市職員など多方面から構成される(仮称)第2清掃工場建設検討会議(以下「検討会議」という)を設置し、発注方法・入札方法等について、幅広い意見を求め、検討を行った。
 被告人は、副市長としての職務を忠実に遂行しており、上記の諸施策を推進こそすれ、これに反する談合への加担は一切ない。

第3  中司市長から平原警部補を紹介された状況

 中司市長は、枚方市における談合を防止するため、歴代副市長に平原警部補を紹介しており、被告人に対しても同様に紹介した。
 被告人は、平成16年1月16日午後2時、枚方市役所市長室にて、中司市長から、談合捜査のプロフェッショナルであり大阪府警特捜のエースとして平原警部補を紹介された。この時、市長室には、中司市長、平原警部補、被告人の他、当時枚方市副市長であったH(以下「H副市長」という)、当時枚方市職員で本件工事の担当理事であつたO(以下「O理事」という)が同席していた。被告人は、その際、中司市長から、枚方市発注工事における談合を防止するために専門家である平原警部補に協力してもらうように指示され、以後、平原警部補と相談を重ねて談合の防止に尽力し、職務に努めていた。
 なお、被告人は、平成16年1月16日以前に平原と接触したことはない。

第4  中司市長とのやりとり

1  被告人は、副市長として中司市長と毎日のように職務上接触していたが、この間、被告人は中司市長から本件工事を特定業者にとらせたいという希望を一切聞いていない。また、被告人も中司市長に対して本件工事を特定業者にとらせたいという希望を表明したことはない。

2  被告人は、中司市長から、本件工事の談合防止のため、平原警部補に何でも相談するように指示を受けていた。このため、被告人は、談合防止のために平原警部補からの本件工事に関する情報提供を求められた場合には、素直にこれに応じていた。しかし、平原警部補からの問い合わせが度重なったことに加えて、平原警部補が、土木建築工事の2回目の入札前に補正予算を市議会に上程すべく予算組をしていた頃、補正予算の増額金額について少ないのではないかとの意見を述べて枚方市の専権事項にまで干渉する姿勢を見せたことから、被告人は、中司市長に対し、この点の不満を言った。これに対し、中司市長は、気にしなくてもよい旨の発言をした。そのため、被告人は、従来どおり平原警部補からの情報提供の求めに応じることとした。

第5  平原警部補とのやりとり

 被告人は、平原警部補を紹介された後、何度か平原警部補と連絡をとった。
 これはもっぱら平原警部補が被告人に連絡をとるという方法であり、被告人が自ら進んで平原警部補に連絡し、情報提供したことはない。
 被告人は、中司市長から平原警部補を紹介され、中司市長が平原警部補を信頼していたこと、及び平原警部補が警察内部において何度も表彰されている優れた警察官であると聞いていたこと等から、平原警部補の指示に従って動くことは必然的に談合防止に繋がるものと考え、平原警部補から情報提供を求められた際には当該情報の提供に応じていた。
 被告人は、平原警部補から大林組も本件工事の受注に興味をもっている一社であるという話を聞いたことがある。被告人は、かかる平原警部補の発言を聞いて、平原警部補は本件工事に関する談合情報の捜査の過程でそのような情報を聞いたのだと認識していた。
 なお、被告人は、本件工事について、大林組を含め特定業者にとらせたいという趣旨の話は誰に対しても一切したことがない。明示的にも黙示的にもかかる趣旨を一切表明したことはなく、かかる意向を疑われるような行動も一切していない。
 被告人は、平原警部補から、談合防止には分離発注が妥当である等と聞いたことがある。平原警部補からそのような話を聞いたときには、既に検討会議において、本件工事の発注方式はプラント設備工事と土木建築工事とに分けた分離発注が妥当であるとの見解が出ていたことから、やはり検討会議の見解は妥当なものであったのだと確信した。
 被告人は、土木建築工事の2回日の入札前に補正予算を市議会に上程すべく予算組をしていた頃、平原警部補と電話または面談をしていた際に、枚方市が本件工事に関して、どの程度予算を増額するのか予定価格を質問され、具体的な数字ではないもののおよその金額を回答した。このとき、平原警部補は、「その程度の金額で大丈夫か」という趣旨の発言をした。被告人は、枚方市が設定する金額は、市職員にて算出した金額であり、談合防止とは関係ないにもかか わらず、平原警部補から批判的意見を出されたことに不満を抱いた。被告人は、かかる平原警部補に対する不満を、中司市長らに述べた。
 なお、被告人は、平原警部補からの接触時に平原警部補から聞いた内容及びその会話の内容を市職員に伝えたことは一切ない。

第6  初田市議とのやりとり

 被告人は、初田市議と副市長及び市議という関係上、初田市議が副市長室に来訪すれば、これに応対していた。しかし、被告人は、初田市議に対し、守秘義務に属する事項を一切公開していない。また、初田市議に本件工事に関し、資料を交付したこともない。
 被告人は、初田市議から、本件工事について、特定の業者が受注したいと考えているというような発言を一切聞いていない。また、被告人も本件工事を特定業者にとらせたいという話を一切したことがない。

第7 その他、本件談合被告事件の関係者の行為と被告人の関与

1  中司市長、初田市議及び平原警部補の会合

 中司市長、初田市議及び平原警部補は、平成13年頃から、平原警部補から枚方市の談合情報や他市の談合の原因を聞いたり、様々な工事やその他の政策について、議論したりするために、勉強会を設けていた。ここで、本件工事についてどのような協議が行われていたのか不明であるが、被告人はかかる会合の存在すら知らなかった。

2  大林組関係者、浅沼組関係者等との関係

 本件談合被告事件は、大林組、浅沼組、佐藤工業及び鹿島建設の各関係者によつて引き起こされたものであるが、被告人は、これらの関係者とは本件工事が大林組・浅沼組共同企業体に受注されるまで、一切接点がなかった。被告人は、本件工事が大林組・浅沼組共同企業体に受注された後も、大林組の森井繁夫及び浅沼組の永井某から、O理事らとともに、市長室にて本件工事受注の挨拶を受けただけで、その後一切接触していない。

第8  本件工事の談合に関与する動機の不存在

1  被告人には、本件談合行為に関与する動機が何ら存しない。

 被告人は、昭和40年9月以来、平成19年11月5日に枚方市に無念の辞職願を提出するまで、40年以上に渡り、枚方市のために尽くしてきた者である。
 被告人は、枚方市職員として勤めた40年以上の間において、一度たりとも業者から接待されたり、業者を接待したりしたことがなかった。

2  被告人は、他の関係者と異なり、本件工事に関連し、何らの利得も得ておらず、何らの要求も行つていない。
 被告人には、何ら本件談合行為に加担する動機が存しない。

第9  枚方市における(仮称)第2清掃工場建設工事への対応

1  枚方市の工事発注への対応経緯の評価について

 本件談合事件は、かつて検察庁が摘発し、本件談合事件の捜査の端緒となつた和歌山県の談合事件とは異なり、官製談合としての要素はなく、枚方市自体は、誠実に談合回避のための努力を続けていた。
 発注方式の決定や、検討委員会への諮問、入札予定価格の決定等の一連の経緯は、被告人の恣意・関与によって、談合を容易にすることはおよそ実現不能であったことを如実に物語るものであるが、その事実経緯をかいつまんで説明すれば、以下の通りである。

2  発注方式の決定について

(1) 検討会議

ア  本件工事に関して、枚方市は、上記のとおり、談合防止等のため、検討会議を設置した。
 検討会議は、平成14年2月19日の第1回検討会議から、平成15年8月26日の第16回検討会議まで全16回開催された。このうち、本件工事の発注方式については、平成14年12月10日に開催された第11回検討会議から検討が始まった。まず、第11回検討会議においては、発注方式(一括、分離、総合評価方式等)の事例報告及び質疑が行われた。
 そして、平成15年2月28日に開催された第12回検討会議、及び平成15年3月28日に開催された第13回検討会議において、発注方式について分離発注と一括発注のいずれを採用するかの議論を経て、平成15年7月7日に開催された第14回検討会議において、発注方式を分離発注とするのが妥当である旨の検討会議における意思決定がなされた。

イ  被告人が検討会議に出席したのは平成15年7月7日に開催された第14回検討会議以降の3回のみである。そして、本件工事をプラント設備工事と土木建築工事に分けて分離発注することが妥当であるとの意見がまとめられた第14回検討会議において、被告人は、担当副市長への就任の挨拶をした他は何ら発言をしていない。被告人が本件工事に関与した時点では、発注方式について分離発注を採用することが既定路線となっていた。また、第15回及び第16回の検討会議においても、被告人は、本件工事関与後、十分な検討時間もなく、本件工事の知識・情報を十分に持ち合わせていなかったことから、挨拶を行うに留まり、実質的な議論に何ら参加していない。
 枚方市は、検討会議においてまとめられた、@本件工事をプラント設備工事と土木建築工事に分離して発注すること、A落札者の決定方法について枚方市独自の総合評価方式によること、Bプラント設備工事については「指名競争入札」とし、C土木建築工事については「制限付き一般競争入札」とすること等の意見を尊重し、検討会議での結論に沿って本件工事の検討をすすめることとなった。
 かかる検討会議は、元大阪商業大学教授であり経済学の専門家であった藤原昭三検討会議会長の指揮の下に進められたものであり、検討会議の議論及び結論に対し、被告人はもちろんのこと、平原警部補、中司市長、初田市議らが影響力を行使することはなかった。

(2) 検討委員会

ア  本件工事の事業計画は、枚方市担当職員にて構成される(仮称)第2清掃工場建設検討委員会(以下「検討委員会」という)で議論を交わしながら進行した。
 検討委員会においては、市民の声が反映されたものと評価し得る検討会議での結論を尊重し、検討会議での結論を覆すことは行われなかった。
 検討委員会は、平成15年9月12日に開催された第27回検討委員会において、検討会議で妥当との結論が出た本件工事をプラント設備工事と土木建築工事に分離して発注する分離発注方式を採用することを決定した。

イ  検討会議においては、プラント設備工事と土木建築工事を分離発注することが決まっていたが、土木建築工事の設計業務をプラントメーカーに発注するか、別途土木建築工事設計業務を設計業者に発注するかについて、何ら議論されていなかった。本件工事の担当理事であったO理事は、当時、全国的にプラント設備工事の談合問題が数多くあったことから、談合防止のためにはプラントメーカーの影響力を出来る限り減少させる必要があると考えていた。このため、O理事は、プラントメーカーヘの発注量を減少させることとなる分離発注が談合防止に役立つと考えていた。O理事は、真に土木建築業者がプラントメーカーの影響を受けずに本件工事に参加するには、本件工事をプラント設備工事、土木建築設計及び土木建築工事に分離して発注する必要があると考えていた。
 このため、O理事は、土木建築工事設計業務の分離の可否を検討するため、枚方市東部整備室に土木建築の設計業務をプラントメーカーヘの発注から分離した場合、工期に影響が出ることがないかについて調査させた。O理事は、担当者から、土木建築工事の設計をプラントメーカーヘの発注から分離しても工期に影響はない旨の報告を受けた。
 検討委員会は、平成16年3月19日に開催された第29回検討委員会において、O理事の発案を受け、プラント設備工事、土木建築設計、及び土木建築工事を分離して発注する発注方式を採用することに決定した。
 なお、被告人は、平成16年1月ころ、中司市長からプラント設備工事と土木建築工事を分離するならば土木建築設計の分離発注も検討してはどうかと提案されたことがあるが、最終的に土木建築設計業務をプラントメーカーへの発注から分離したのはO理事からの提案を受けて検討委員会にて議論を経た末のものであり、中司市長からの指示が土木建築業務の分離に直接繋がったものではない。

ウ  検討委員会は、平成5年7月19日、第1回検討委員会が開催され、本件工事の基本計画や現状と課題等について議論がなされた。検討委員会は、全32回開催された。
 被告人が検討委員会に初めて出席したのは、被告人が本件工事の担当副市長に就任した後に開催された平成15年8月8日の第25回検討委員会である。被告人は、全32回の検討委員会のうち、第25回以降の8回の検討委員会にしか関与していない。被告人は、本件工事が大詰めを迎えた時期に、新参者として参加することとなった形式的責任者に過ぎず、市職員が被告人に求めたのは決裁のみであり、具体的に被告人の本件工事に対する意見等を求めることはなかった。大詰めの時期に急遽責任者となった被告人は、自己の具体的意見を提示できるだけの背景的知識を有する者でもなかった。

3 事業費の積算

(1) 本件工事の当初予算の決定

 本件工事は、平成16年1月乃至3月の間に、市議会にて、予算を約100億円と定められた。
 本件工事の工事費について、市担当者が工事履行能力を有する実績のある企業数社から見積もりを取得としたところ、最低価格が100億円を超過するものであった。しかし、近隣の特別地方公共団体である城南衛生管理組合(京都府宇治市・城陽市・八幡市・久御山町・宇治田原町・井手町の3市3町で環境・廃棄物行政の為に設立された一部事務組合)が発注した本件工事と同規模の類似施設である新長谷山清掃工場の事例では、入札予定価格が約98億円、落札価格は約58億円であり、また清掃工場の落札結果が全国的に下落していた傾向も加味し、総100億円以内という枠組での予算が市議会に上程され承認された。

(2) 土木建築工事の第1回目の入札予定価格の決定過程
 
 枚方市は、平成16年6月、本件工事のプラント設備工事を落札した川崎重工業株式会社との間で、プラント設備工事請負契約を請負代金約58億円(税込み)にて締結し、土木建築工事(工場棟・煙突・管理棟・洗車棟)の予算残額は約41億円であった。
 しかし、枚方市担当部署にて、土木建築工事の設計業務を落札したI建築設計事務所から提示された概算額について、精査を重ねたが、優先的に着工すべきと考えられた工場棟と煙突の土木建築工事だけでも、予算残額を超えるものであった。もっとも、一度議会にて根拠を示して承認を得た予算について、何ら入札もしていないまま補正予算にて本件工事の予算の増額を要求するということは通常あり得ない事柄であったため、検討委員会は、平成17年4月22日開催の第31回検討委員会会議において、土木建築工事において優先的に着工すべき工事である工場棟及び煙突のみを対象として発注することで予算対策を行う方針を確認した。
 さらに、枚方市担当者は、議会で定められた予算約100億円の範囲内で本件工事を遂行するため、枚方市発注の建設工事の入札状況を参考に直接工事費から20%削減した実勢価格調整を行った。
 これにより、土木建築工事の第1回日の入札予定価格は、約39億円(税抜き)とされることとなった。
 かかる土木建築工事の第1回目の入札予定価格について、被告人が指示したことは議会で定められた当初予算の範囲内で発注できるよう指示したのみであり、何ら具体的な指示をすることはなかった。
 かかる入札予定価格での入札見込みについて、市担当者及び被告人は、新長谷山清掃工場の事例や清掃工場の落札結果が全国的に下落していた傾向に照らし、どこかの業者が入札するものと考えていた。

(3) 土木建築工事の第2回目の入札予定価格の決定過程

 平成17年8月に行われた土木建築工事の入札が不調に終わったため、枚方市は、再発注が必要となった。
 土木建築工事の入札方式は、制限付一般競争入札を採用していたため、指名競争入札のように応札可能業者を変更することができなかった。このため、再発注に際しては、工事範囲・内容などの発注条件の変更が必要となった。また、再発注に伴い本件工事のスケジュールが遅れた中で、プラント設備工事は着工していたこと、第2清掃工場が平成20年度稼動予定であったこと、さらに国庫補助金交付申請手続への影響という時間的な制約もあった。このため、検討委員会は、平成17年8月24日開催の第32回検討委員会会議にて、工場棟・煙突と管理棟・洗車棟を分離して発注するという発注方式を見直し、これらを一括発注する入札方式を採用する方針を確認した。
 また、入札予定価格について、第1回目の不応札の原因は、入札予定価格が低額過ぎたことも原因ではないかと考えられたこともあったため、市担当者は、20%削減していた実勢価格調整を戻し計算することとした。
 この結果、第1回目の入札予定価格よりも約17億円増額した約56億円(税抜き)を第2回目の入札予定価格とした。
 かかる土木建築工事の第2回目の入札予定価格について、被告人は、市担当者の考案した入札予定価格に決裁したのみであり、何ら具体的指示をしていない。
 なお、第2回目の入札予定価格及び経審点等の入札条件の決定に際し、平原警部補、中司市長、初田市議らからその影響力を行使されることはなかった。

4  土木建築工事の第1回目の入札不応札への対応

 担当部署及び被告人は、どこかの業者が入札すると考えて金額を設定していたにも関わらず、1件も入札がなかったという結論に落胆した。  被告人は、土木建築工事の入札方式は、制限付一般競争入札における入札可能業者が70社を超えていたにもかかわらず、5社しか設計図書を購入していなかったことから、何らかの原因があるのではないかとも考えていた。しかしながら、被告人は、談合防止について議論が行われた検討会議における結論に従ったこと、及び枚方市には平原警部補がついていることから、談合が行われたとは思えないでいた。
 ところで、枚方市副市長であるK(以下「K副市長」という)が担当副市長を務める総合契約室が、枚方市入札監視委員会及び公正取引委員会に本件不応札について報告した。総合契約室は、かかる報告に対し、枚方市入札監視委員会からは、不応札について業者に事情を聞くのは不適切との回答を得、公正取引委員会からは、応札がなかったという事実のみで談合があったということはできない旨の回答を得た。総合契約室は、枚方市入札監視委員会の意見に従い、業者に談合情報の有無の確認を控えることとした。

第10  終りに

 以上のとおり、被告人は、およそ談合行為に加担しておらず、談合の存在についての認識もなく、談合の共謀に一切関与していない。被告人は、職務に関連して、何ら不当な権限行使や任務違背をしておらず、これに関連して利得を得た事実も全く存在しない。とりわけ、同じ公務員でありながらも、警察官という身分を悪用し,賄賂を要求し私腹を肥やす公務員としての清廉さもない平原警部補と被告人とは全く異質の存在である。
 被告人と弁護人は、一連の本件工事の発注経緯と被告人の関与を具体的に精査することを通じて、被告人のいわれなき嫌疑を明らかにするとともに、捜査過程において、検察官が前立腺肥大症を患う被告人に約6時間にも渡る取調べの間、一杯の水も飲ませないまま取調べを継続することで前立腺肥大症を悪化させ、被告人をしてカテーテルの装着を余儀なくさせた事実、さらにはその後も長時間に及ぶ取調べを継続し、カテーテルの長期装着を余儀なくさせ細菌感染までさせた事実、公訴事実を否認し続ける被告人に人権を明らかに無視した罵詈雑言を浴びせ続けた事実、被告人が実際には行っていない供述を被告人がなしたかのような虚偽の情報をマスコミに流し、不当に被告人の名誉を毀損した検察官の行為、並びに検察官が中司市長逮捕のための証拠の駒として利用すべく、根拠なく憶測や見込みのみに基づいて、根拠なく被告人の身柄拘束及び訴追に及んだ、本件訴追の実態を明らかにする所存である。

以上


以上が小堀前副市長の弁護人が行った冒頭陳述です。





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